稀覯本 馬場鍈一伝 青木信光著 私刊 1945年

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経年劣化はございますが通読には一切問題ございません。奥付頁に正誤表の貼付け有。多くの重要人物による回顧談もあります。古書組合が運営するサイト「日本の古本屋」でも最安値¥16,000+送料です。どうぞよろしくお願いいたします。\r\r馬場 鍈一(ばば えいいち、1879年 – 1937年)\r\r\r馬場はそれまで銀行畑とは縁がなかったが、1927年には政友会の田中義一内閣の人事により日本勧業銀行総裁に就任。\r\r1936年に広田内閣が発足すると馬場は満を持して蔵相として入閣。前任者の高橋是清蔵相が掲げていた公債漸減主義を放棄し、国防の充実と地方振興のためには増税と公債増発をもいとわない財政声明を出した(馬場財政)。\r\r昭和十二度予算案が明らかになると、軍需資材の需要増を見込んだ商社が一斉に輸入注文を出し、輸入為替が殺到して円が下落、輸入物資の高騰を招く混乱を招いた。この直後の1937年に浜田国松議員と寺内寿一陸相との間で「腹切り問答」が起き、これに憤慨した寺内が単独辞任をちらつかせながら衆議院を懲罰的に解散することを広田に要求すると、広田はあっさりと閣内不一致を理由に内閣総辞職。これでこの予算案は結局廃案となった。しかし後に広田は賀屋興宣に対し、実は「腹切り問答」は助け舟のようなものだったことを打ち明けた。本当は馬場財政のあおりで外国為替や経済情勢が混乱して、どのみち内閣を投げ出さざるを得なかったのだという。\r\r広田内閣総辞職から短命の林内閣を経た4ヶ月後の1937年に第一次近衛内閣が発足すると、馬場は軍部の強い後押しにより内務大臣として入閣した。軍部はもとより、近衛も当初は馬場を蔵相に再起用することを考えていたのだが、財界には馬場財政への不信と風当たりがたいへん根強く、かといって今更断れない近衛は結局馬場を副総理格の内相という、そもそも広田を外相として迎え二頭立ての陣容になっていた近衛内閣においてはいかにも中途半端な立場に処遇せざるを得えなかったのである。
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